支部長コラム 「理想を持ち、現実を見よ」

2008年11月発行の道場新聞港南瓦版に掲載

乱立と言っても過言ではない位に、
相当数の武道団体・格闘技団体が混在している昨今、
その中の多くが次のいずれかの活動に留まっているように思える。

①「理想固執型」
=基本や型に固執し神秘性を演出する一方、組手や試合を否定する。

②「現実迎合型」
=ある特定の状況(ルール)にのみ対応すべく努力や工夫を重ねる。

理想は持っても、それに固執し現実から目を背けてはいけない。

かと言って現実に振り回され、
方向を見失い理想を持たないことほど虚しい生き方はない。

ここで言う「理想」とは、
稽古を通じて空手を極め、奥義に近づこうとすること。

そして組手や試合など、ある特定条件下で試される
結果や成果を「現実」と呼ぶことにする。

そうした意味での極真空手の素晴らしさを一言で表すなら
「理想を持ち、現実からも目をそらさない理念と環境がある」
である。

極真がこうしたバランスを持ち得たのは、
創始者・大山倍達総裁が空手を極めんとした高い志と、
命懸けで臨んだ実践があったからであろう。

しかし、自戒も含め極真会館には「理想」と「現実」双方を
バランス良く保てる理念と環境が用意されているだけで、
それを十分に活用している極真空手家は意外に少ないように思えてならない。

若くて健康であるなら、
試合にチャレンジして「現実」を味わうべきだし、
試合にさえ勝てればいいと自分の理想にフタをしてしまっては虚しい。

「理想」と「現実」双方の道を偏りなく追求してこそ、
大山総裁の遺産である極真空手を余すところなく満喫できるのだと思う。

「天才」は神から与えられた限られた人間だけだが、
「本物」になる道は努力次第で誰にでも用意されているのだから…。



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