支部長コラム 「みんなが持っている宝物」

2009年11月発行の道場新聞港南瓦版に掲載

去る11月22日、第41回全日本大会で、
田中健太郎が5年振り2度目の全日本王者となった。

「彼の強さの源は何だろう?」と考えたときに、
ある結論に達した。

極真空手に入門すると、
誰もが直ぐに「宝物」を授かる。

三戦立ち・基本稽古など、
誰もが最初に出会う「基礎」である。

指導者は入門者にこう伝える

「これは君にとっての宝物だ、今は小さな原石だが、
これから君自身の努力で磨き、大きく輝かせて行くものだよ」

入門者は目を輝かせ
「これが極真空手なんだ、
自分を強くしてくれる宝物なんだ、大切に磨いて行くぞ」
と決意し、稽古に励む。

それから少しの月日が経ち、
帯に色が付いて暫くする頃に彼は多くの稽古方法を知り、
魅力的に見える稽古・効率の良さそうな手っ取り早い稽古に出会う。

そうすると最初は魅力的でありがたく思えた「宝物」は少し色あせ、
窮屈でつまらないものに見えてくる。
そして、次第に磨くことをやめて何処かへ仕舞い込むことになる。

皮肉なことに、この「宝物」はその魅力が分かりづらく、
自分が成長し磨いて行かないと輝いて来ない。

一方、手っ取り早い稽古法は誰にでも分かり易く、有益に映る。

少々前置きが長くなったが、
田中健太郎の強さの源は、
入門して最初に授かった「宝物」を、
日本の頂点を2度制した今でも、
純粋で新鮮な思いで磨き続けているところにあると思う。

我々は今、彼から学ぶべきである。

既に全員が持っている空手の奥義の「種」、
それを磨き続けることの大切さを・・・。



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