I.K.O.フルコンタクトルール(国際空手道連盟・フルコンタクト試合規則)


2016年に改定されたルール

改定以前の試合では競技化が進んだ結果、試合に勝つ為の要素の大部分を体力(パワー・スタミナ・打たれ強さ)が占めることになり、膠着状態も多く単に前に出れば・沢山動けばという試合が多く見受けられるようになりました。
そこで以下の主旨を基準に、ルールの大幅な改定に踏切りました。


改定主旨

(1)試合における膠着状態を無くして大山倍達総裁が提唱された華麗なる組手を目指し、空手道が本来持つ武道性を追求する。

(2)相手を倒すというフルコンタクト空手の特性を活かしながら、より実戦に近い形式で試合を行い、極真空手の独自性を確立する。

(3)高度な技術点を高く評価し、選手の技術向上を促進する。

(4)実力が拮抗した選手同士の試合でも最後まで逆転の可能性を残し、競技としての醍醐味、分かりやすさ、面白さを向上させる。


I.K.O.フルコンタクトルール(国際空手道連盟・フルコンタクト試合規則)

《解説・補足説明は青字で掲載》

※本ページに記載している試合規則は2019年4月現在のものです。


審判基準

審判員および審議委員は同等の権限をもって競技の審査に当たるが、競技に関する最終決定はすべて審判長の裁可による。
組手時間の規定時間は1試合につき3分(予選は2分)、延長戦は2分とする。
ただし、必要と認めた場合は審判長の裁量により、あらためて時間を設定することもありうる。 大会進行は極力予定スケジュールに沿わせるが、やむをえない事態が起きた場合は、審判長・副審判長が協議の上、審判長が変更を指示することができる。
審判長は大会進行に関し、大会審議委員会の意見を求めることができる。


組手と勝敗

1.組手は原則として1試合3分間(予選は2分)とする。
延長戦は同じく2分間とする。

2.組手の勝者は、
①一本勝ち
②技有り2本による合わせ一本勝ち
③判定勝ち
④相手選手の失格、棄権による勝ち
により決定される。


一本勝ち

3.反則箇所を除く部分へ、突き・蹴り・肘打ち等を瞬間的に決め、相手選手を3秒以上ダウンさせるか、戦意を喪失させたときは一本勝ちとする。

4.自分の技(足掛け・足払い、相手の技にカウンターの下段蹴りなど)によって、相手を瞬時に転倒させ、転倒させた相手の背中が床についた状況で腹部にライトコンタクトの下段逆突きを決め、気合いが伴う明確な残心を示せば一本勝ちとする。

《一本を取った選手の勝ちとなり、その場で試合が終わる》


技有り

5.反則箇所を除く部分へ、突き・蹴り・肘打ち等を決め、相手選手が一時的にダウンもしくは戦意を喪失し、3秒以内に立ち上がったとき、または、倒れはしないがバランスを崩したときは技有りとする。

6.クリーンヒットと残心1:上段への蹴り(上段廻し蹴り、上段前蹴り、上段後ろ蹴り、上段後ろ廻し蹴り、上段膝蹴りなど)がクリーンヒットし、転倒やバランスを崩さなくとも、タイミング良く突きをして間合いを制し気合いが伴う明確な残心を示せば技有りとする。

7.クリーンヒットと残心2:中段への蹴り(中段前蹴り、中段後ろ蹴りなど)がクリーンヒットし、相手を瞬時に転倒させ、即座に突きをして間合いを制し気合いが伴う明確な残心を示せば技有りとする。

8.自分の技(足掛け・足払い、相手の技にカウンターの下段蹴りなど)によって、相手を瞬時に転倒させ、即座に突きをして気合いが伴う明確な残心を示せば技有りとする。

9.相手の捨身技(胴廻し回転蹴りなど)をかわして、即座にライトコンタクトで下段逆突きを決め、気合いが伴う明確な残心を示せば技有りとする。

10.転倒した選手が、倒れた瞬間に防御及び反撃の為に即座に攻撃(下からの蹴り上げ、廻し蹴りなど)をすることは認められ、第3条また第5条の基準で技有りや一本勝ちも認められる。

11.相手の有効技により負傷し、審判長の判断で試合場を下りて治療が必要となった場合、相手選手に技有りが与えられた上で試合続行となる。

12.技有りは、2つで一本勝ちとする。

※転倒:攻防の中で相手の技によって瞬時に体を奪われ、お尻・背中が床についた場合。または足の裏以外の部位が床に着き、死に体(しにたい)となり直ちに攻防が続けられない状態になった場合。


判定

13.一本勝ちで決まらない場合は判定で決定する。

14.判定は主審1名、副審4名のうち、3名以上の支持を有効とする。

15.判定基準は両選手の試合の流れを把握し、以下の基準を元に判定を下す。
①ダメージ
②有効打
③手数・攻勢

16.減点1を与えられた選手が「技有り」を取った場合、判定に於いて「減点1」と「技有り」は相殺され、それ以外の内容で判定される。減点1=技有り

17.相手選手の失格、棄権による勝ち。


延長戦

18.判定で主審1名、副審4名のうち、3名以上の支持がない場合は、引き分けとし、延長戦を行う。

19.延長戦を2回繰り返しても判定がつかない場合は、試割枚数の多い選手を勝者とする。
試割枚数が同数の場合は10kg以上を有効とする体重判定によって軽い選手を勝者とする。
ただし、予選の場合は、1回目の延長戦で判定がつかない場合、10kg以上を有効とする体重判定によって軽い選手を勝者とする。
体重に有効差がない場合は、再度延長戦を行って決める。

20.試割枚数、体重差でも決まらない場合は、選手の技量、気魄、反則数などによって、審判長が決定する。
この場合、3度目の延長戦もありうる。

21.第19条、第20条は原則として、審判長、副審判長、の判断で変更することもある。


反則

22.次の場合は、反則とする。

① 顔面殴打:手、肘による顔面および首への攻撃。手先が触れても反則となる場合がある。
ただし、手で顔面を牽制することはかまわない。
② 金的への攻撃。
③ 頭突きによる攻撃。
④ 倒れた相手への直接攻撃。第4条、第9条の場合を除く。
⑤ 背骨への攻撃:背骨(脊髄・脊柱)への直接攻撃。
⑥ 掛け:相手選手の首から上、及び胴体へ手掛けした場合。
⑦ 掴み:相手選手の道着、手足を掴んだ場合。
⑧ 抱え込み:相手選手の足や身体を抱えた場合。
⑨ 投げ:相手選手を投げた場合。
⑩ 顔面、首への押し:首から上への押し。
⑪ 連続しての押し:相手選手を連続して押した場合。
⑫ 抑え:相手選手を抑えた場合。
⑬ 胸(手)を合わせての攻撃:相手選手と手や胸を合わせて膠着を誘発すること。
⑭ 掛け逃げ:技の掛け逃げを再三繰り返した場合。
⑮ 場外:場外線を両足が完全に越えた場合。
⑯ 主審の「止め」が掛かった後の攻撃。
⑰ 関節への攻撃:中足・足刀・カカトによる正面から膝関節への攻撃。
⑱ 不十分な礼:正しく立礼をしない場合。
⑲ 着衣の乱れ:着衣が著しく乱れたまま試合を続けた場合。帯がほどけて床に落ちた場合。
⑳ 審判がとくに反則とみなした場合。

※押し:瞬間的な単発の押しを認める。
《すべての単発の押しが有効。掌底、手刀、小手、肘での押しも認められます。連続しての押しは反則です。》

※捌き:腕・足への瞬間的な捌きを認める。ただし、捻り・投げは反則。

※押し・捌き・足掛けの複合技:押し・捌き・足掛けを同時に使うことが認められる。

23.反則には、悪質な場合を除き
1度目で「注意1」
2度目が「注意2」
3度目が「減点1」となり、
4度目が「減点2」で失格となる。

※反則により相手選手が負傷し、直ちに試合続行が不可能で1試合以上の回復時間が必要となり、審判長がその反則が重大なものと判断した場合は、反則をした選手に2つ分の注意が与えられる。


減点

24.次の場合は1度目でも減点1となる場合がある。
①悪質な反則を行った場合。
②審判の判断により、悪質な試合態度とみなされた場合。


失格

① 減点2となった場合。減点2=失格
② 試合中、審判員の指示に従わない場合。
③ 粗暴な振る舞い、とくに悪質な反則、とくに悪質な試合態度とみなされた場合。
この場合、審判長の判断で順位が剥奪される場合がある。
④ 見合ったままの状態で1分間以上経過した場合。
この場合は戦意喪失として、両選手とも失格とする。
⑤出場時刻に遅れたり、出場しない場合。
⑥主催者が定めた服装、防具の規定に反している場合。
⑦出場申し込み時に申告した体重と当日の体重に10kg以上の相違があった場合。


試合放棄

26.正当な理由なくして試合を放棄したときは、弁償金を支払わなければならない。
ただし、下記の場合は例外とする。

① 大会医師または医事委員の診察を受け、試合続行不可能となった場合。
② 大会直前または大会中に、本人に関係する不慮の事故(家族の不幸など)が発生し、審判長が協議の上、退場を許可した場合。



国際空手道連盟・試割規定

① 試割の材料は、33cm×21cm、厚さ2.4cm(13インチ×8インチ、0.9インチ)の杉板を使用する。材質は国際空手道連盟の規格に合致したもので、審判員、審議員の検査を通ったものとする。
② 割った枚数によって点数を競うが同枚数の場合は、体重の軽い選手を優位とする。
その際の有効体重差は原則として10kgとする。
③ 選手は、正挙・足刀・猿臂・手刀の4種類の技で試割を行い、その合計点を得点とする。
④ 選手は、試割の枚数について、規定枚数(3枚)以上であれば何枚でも指定できる。
⑤ 指定した枚数が1回の試技で完全に割れない場合は「失敗」とし、得点にならない。
⑥ 「失敗」した場合は、再度試みることができるが、この場合は規定枚数の3枚とする。
⑦ 再度試みた試割に失敗した場合は、得点を0とする。
⑧ 試割は、固定したブロックを台として所定の位置で行う。ブロックの台は、審判員・審議員の許可がない限り動かすことはできない。
⑨ 選手は試割に当たって、ブロックの台、板にはいっさい触れてはならない。
ただし、間合いを計ること、板の上に審判員、審議員の検査を受けた薄い布(手拭、タオル等)を敷くことはできる。
⑩試割は、審判員の指示で行う。制限時間は2分とし、それを超えると失敗とみなす。


全日本ウェイト制選手権大会試合規定

全日本ウェイト制大会においては、次の規定を適用する。
1.階級は、
①軽量級(−70kg)
②中量級(−80kg)
③軽重量級(−90kg)
④重量級(+90kg)
とする。

2.規定体重を超えている場合、あるいは満たない場合は失格となり、試合に出場できない。
3.体重判定の有効差は3kg以上とする。

4.下位回戦の場合、本戦2分間、延長戦2分間とし、延長戦で判定がつかない場合は体重判定、体重で判定がつかない場合は審判長が決定する。

5.上位回戦の場合、本戦3分間、延長戦は2分間とし、延長戦を2回繰り返しても判定がつかない場合は、
①試割枚数
②体重判定
③審議の順で、勝敗を決める。

6.年齢は原則的に18歳以上とする。



全日本ウェイト制選手権大会 試割規定

準々決勝以降の試合において再延長で決着が付かない場合は両選手は直ちに試割を行い勝敗を決する。
・選手は任意の枚数(3枚以上)を1回のみ申告することが出来る。
・制限時間内(2分以内)に枚数を決め設置を完了させる。
・挑戦する枚数にかかわらず、その中で1枚でも割れない板があった場合は「失敗」となり、記録は「0枚」となる。
・4種目を終えても両者同数の場合、体重判定(有効差3kg)、それでも決着がつかなかった場合は審議となる。
・試技順
準々決勝①手刀 ②猿臂 ③足刀 ④正拳
準決勝①猿臂 ②足刀 ③正拳 ④手刀
3位決定戦・決勝①足刀 ②正拳 ③手刀 ④猿臂


I.K.O.フルコンタクトルール審判動作基準・組手の部


試合開始

1.両選手を進行係が呼ぶ。(このとき対戦者はお互いに反対の位置より試合場に登る)

2.中央の線を境に一定の間合い3mをとり中央に主審が立つ。両選手に正面に礼、互いに礼を指示し、主審の「はじめ」の合図で試合を開始する。

3.試合続行中、着衣が乱れた場合、主審は試合を止め開始線に戻し、お互いに背を向けて服装を直させる。


試合中

1.試合中、一本勝ち、技有り、反則、場外などの場合、副審は笛の合図とともにそれぞれ旗によって示す。主審は「やめ」の指示で両選手を分け、元の位置に戻す。

2.旗の振り方は、以下の通りとする。

①一本勝ち/勝った選手の方の旗を真上に上げる。大きく笛を吹く。
②技有り/技有りを取った選手側の旗を真横に上げる。大きく短く笛を吹く。
③反則/反則をした選手側の旗を振る。旗の動きに合わせて短く笛を吹く。
④場外/その側の旗で床を叩き、その後場外に出た選手側の旗を反則と同様に振り、笛を吹く。 旗の動きに合わせて短く笛を吹く。
⑤認めず/2本の旗を交差させて振る。旗に合わせ長めに弱く笛を吹く。
⑥見えず/2本の旗を正面で交差させる。笛は吹かない。
⑦判定の際:引分け・中立/2本の旗を前で交差させる。大きく笛を吹く。
赤の勝利/赤の旗を真上に上げる。大きく笛を吹く。
白の勝利/白の旗を真上に上げる。大きく笛を吹く。

3.一本勝ち、技有り、反則の場合、主審は副審の判断を求め主審を含め3名以上の判断を有効として、それぞれ宣告する。


一本勝ち

1.試合規則 第3条、第4条の一本勝ちの技が決まった場合、主審は両選手の間に入って分け、試合を止め元の位置に戻す。

2.主審を含め3名以上の支持を有効とし、一本勝ちを宣言する。


判定勝ち(優勢勝ち)

1.一本勝ち、失格がない場合、試合終了の合図によって、主審は「止め」と指示し両選手を分け、元の位置に戻す。

2.主審は両選手を正面に向かせ、「判定」と指示して副審の判断を求める。副審は判定基準に則り勝ちと判断した選手側の旗を真上に上げる。引分けと判断した場合は、2本の旗を前で交差させる。主審を含め3名以上の支持を有効とし、3名以上の支持がない場合は引分けとする。


反則

1.反則があった場合は、主審が両選手の間に入って試合を止めさせる。

2.反則の認定には原則として主審を含め3名以上の支持を有効とする。

3.反則には、悪質な場合を除き1度目で「注意1」、2度目が「注意2」、3度目が「減点1」となり、4度目が「減点2」で失格となる。

4.反則技については、試合規則「反則」(第22条)を参照。


失格

1.減点2または試合規則「失格」に該当する場合は、主審は該当する選手に失格(手刀を斜め下に指し示す)を宣言すると共に、逆側の選手の勝ちを宣言する。

2.失格の基準は、試合規則「失格」(第25条)を参照。


試合終了

1.一本勝ち、失格の場合、主審はただちに組手を止め、両選手を向かい合わせたまま勝ちを宣告し、両選手に正面に礼、互いに礼を指示し、握手をさせ、退場させる。

2.一本勝ち、失格がない場合は、試合終了の合図とともにただちに組手を止め、両選手を正面に向かせ副審の判断を求め、勝者を決定した上同様にする。