支部長コラム 「稽古」

2012年11月発行の道場新聞「港南瓦版36号」に掲載

金八先生風に言うと
「“稽古”という字は“古(いにしえ)を稽(考える)”」
と読むことが出来る。

「先人たちから伝承されたものを練り直す」
とも言い換えられるだろう。

私たちの祖先が原始人だった頃、
きっと彼らの五感は我々現代人とは比べものにならないほどに鋭く、
運動能力もかなり高かったに違いない。

もしかしたら、
神と通じたりする能力さえも備えていたかも知れない。

我々現代人は、
それらを便利さと引き換えに退化させてしまったのだ。

例えば、自動車を使う生活が普通となり足腰が弱くなったし、
情報機器の発達により感が鈍くなっている。

そうした奥に眠り忘れかけている能力を取り戻すのが稽古であり、
先人たちからの奥深い遺産である。

私たちが研究と工夫を重ね“真新しい稽古方法”を突き詰めた先に、
一周回って基本稽古や型稽古にたどり着くのかも知れない。
と思いを巡らすことがある。

もしかしたら、我々を天国で見守る先人たちが

『 だから最初からこれをやれと遺しておいただろう? 
まあ、でも仕方がないな、誰もがそうして遠回りをして気付くものなのだから… 』

と、言っているかもしれない・・。



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